ドローンと空飛ぶクルマのセキュリティ

こんにちは。CTO室長の浅野@masakz5です。
ドローンの大型展示会であるJapan Droneが6月21日から3日間の日程で幕張メッセで開催されます。

GMOインターネットグループも、ドローンや空飛ぶクルマのセキュリティに関するコンテンツを出展予定です。
今日はそれに先んじて、ドローンや空飛ぶクルマの現状と、我々のセキュリティに対する取り組みをご紹介したいと思います。

ドローン-「空の産業革命」にむけて

ドローンについては今年大きな転換期を迎えます。改正航空法が2022年の12月に施行され、「レベル4」と言われる有人地帯での目視外飛行がいよいよ実現可能になります。
今まではレベル1/レベル2と呼ばれる、人が目視できる範囲での操縦飛行や自律飛行、あるいはレベル3と言われる無人地帯での目視外飛行しか認められていませんでした。
この範囲においても、目視内であれば空撮やインフラ点検、農薬散布といった分野、目視外であれば過疎地や島しょ分への物資や医薬品の配送などの分野でドローンが活用されてきました。
今後レベル4で都市部の目視外飛行が認められると、物流や宅配などの分野でドローンが活躍できる可能性が一気に広がっていきます。

レベル4実現に向けた制度整備の主な内容

レベル4に向けて今回整備された制度のポイントは以下の3つです。

  1. 機体認証(型式認証)制度
    文字通り機体の認証を行う制度です。レベル4で飛行を行う機体は、この認証を受けていなければいけません。なお、型式の認証を取得することも可能で、この型式認証を受けた機体は個々の機体の認証手続きを簡素化することができるようになります。合わせてレベル3以下の飛行形態においても、この機体認証を受け、ライセンスを持った操縦者が操縦することで、これまで必要だった許可・承認を不要とするような緩和措置がとられることになっています。

  2. 操縦ライセンス制度
    国家試験によって操縦者の技能証明を行う制度です。レベル4で飛行を行うためには、上記の機体認証と併せてライセンスを取得した操縦者が操縦する必要があります。

  3. 所有者登録制度
    ドローンの機体の所有者を登録する制度です。2022年6月20日より義務化されます。100g以上の機体については機体と所有者の情報の登録が必要で、登録された機体は「リモートID」と呼ばれる識別方法を発信しなければなりません。

型式制度をセキュリティの観点から考察

上記のうち型式認証の基準について5月末に国土交通省より通達案が提示され、パブリックコメントの募集が開始されました。
この通達案をセキュリティの観点から考察してみたいと思います。

ポイント1: サイバーセキュリティに対する対策が義務に(区分115)

区分115としてサイバーセキュリティに対する対策を行わなければならないことが明記されています。対象は機器・システムおよびネットワークとされ、「セキュリティ対策は、セキュリティリスクが特定され、評価され、かつ、必要により緩和されていることを示すことによって確実になされなければならない。」とされています。

ポイント2: 機体及び周辺の状況の監視が必要に(区分100、140-3)

区分100として、バッテリーや推進系統の状態や機体の位置や速度などの状況を監視し、関連システムに送信しなければならないとしています。
また、区分140-3では機体に取り付けられたカメラ等によって経路上の航空機や他のドローンの状況を常に確認できなければならないとしています。
目視外を飛行しているドローンについて上記のような監視を行うためには、遠距離通信が可能なLTE/5Gなどを使用して、常時接続した状態で位置情報などのテレメトリーデータや画像データを地上に送り続けなければなりません。
通信内容を傍受されたり、ドローンの機体になりすまされて偽の情報を地上システムに送信されたりすることがないように、1つの目のポイントのサイバーセキュリティへの対策の中でも通信についてのセキュリティは非常に重要なポイントになってくると考えられます。

空飛ぶクルマ-「空の移動革命」にむけて

ドローンに続いて、空飛ぶクルマについて触れたいと思います。「空飛ぶクルマ」と聞いて、SF映画に出てくるような自動車に翼がついて空を飛ぶものを想像する方もいるかもしれません。しかしながら一般的に「空飛ぶクルマ」という形で表記されるものについては、eVTOLと言われる「電動」「自動(操縦)」「垂直離着陸」という特徴を持つ機体だと認識されています。
弊社も参加している「空の移動革命に向けた官民協議会」において、空飛ぶクルマの2022年度版ロードマップが今年3月に発表されています。
空飛ぶクルマはドローンと違ってまだ実用段階にはありませんが、日本も含め世界中で様々なメーカーが試験飛行をおこなっており、また大手企業が続々とこの分野のビジネスへの参入を表明しています。

大きな節目となる関西・大阪万博

空飛ぶクルマにとって大きな節目になりそうなのが、2025年に開催される大阪・関西万博です。
この万博の目玉の1つとして空飛ぶクルマの遊覧飛行が計画されており、これによって社会的な認知が大きく向上することが期待されています。
この関西・大阪万博以降、地方の観光地における遊覧飛行や空港からの二次交通としての利用が見込まれています。ただ、2020年台はまだパイロットが乗り込み操縦する形がメインになりそうです。

空飛ぶクルマの自律飛行・遠隔操縦に向けて

ロードマップによると、2030年代には空飛ぶクルマの自律飛行・遠隔操縦が実現し、パイロットが乗り込まなくても飛行が可能になる見込みです。都市部での飛行も可能となり、自家用としての利用も視野に入ってきます。
但し、ここに至るまでには様々な法律やガイドラインの整備、そして何よりも「空飛ぶクルマは安全で便利な乗り物である」という社会からの認知が必要になります。
空飛ぶクルマの自律飛行や遠隔操縦のためにはより複雑な制御システムとネットワーク通信が必要となり、人命に直結することからもそれぞれについて高いレベルのセキュリティが求められることは想像に難くありません。

Japan Droneへの出展について

冒頭でも述べたように、GMOインターネットグループとして、セキュリティ事業に関わるGMOグローバルサインとGMOサイバーセキュリティbyイエラエによる、ドローンや空飛ぶクルマのセキュリティへの取り組みについて出展する予定です。ブースでは、イエラエのホワイトハッカーによるリアルタイムのドローンへのハッキングのデモや、PRODRONE様と取り組んでいる「安全なドローン」の展示を行う予定です。
また、国際コンファレンスにおいて、21日13時からDRONE FUNDの千葉 功太郎様をお招きして、私とイエラエの寺村執行役員との間でパネルディスカッションを行う予定になっています。

ぜひ会場に足をお運びください!